年号が変わる時、とある町から一つの団地が’消えた’。
緑ヶ丘団地――。 そこに越してきた人妻たちは、皆おそろいの制服を着て暮らしていたという。 「団結と防犯のため」。
表向きは、そう説明されていた。 だが、この団地には決して外に漏れてはならない「婦人会規約」が存在した。
第一条、妻は常に制服を着用すること。 第二条、制服に氏名と部屋番号を記すこと。 第四条、家庭の秘密を、婦人会と共有すること――。
わけあって、格安のこの団地に流れ着く人妻たち。 何年ぶりかの制服に袖を通し、恥じらう彼女たち。 だが、それぞれが抱えた’隠したい秘密’を、団地を裏で束ねる管理人は、すでに握っていた。
逃げ場は、一つずつ、静かに塞がれていく。 そして規約に呑まれた妻は――やがて満ち足りた笑みを浮かべ、次の新しい奥さんを迎え入れる側に回る。
「ようこそ、緑ヶ丘団地へ。……大丈夫。すぐに、慣れますから」
なぜ、この団地の奥さんたちは、次々と姿を消していったのか。 本作は、今もどこかで囁かれる都市伝説――その’記録’の一部が流出したものである。
●白瀬 詩織(32)
夫の希望で持ち家を離れ、静かな暮らしを求めて格安の緑ヶ丘団地へ移り住んだ人妻。
ボーイッシュに整えた短い髪に、理知的で涼やかな瞳。かつては医師として働いていた完璧主義の才媛だが、
すらりとした中性的な立ち姿に不釣り合いなほど、豊かな身体つきをしている。
入居の条件である婦人会の制服――紺のセーラー服に袖を通した彼女は、三十を過ぎた自分にはあまりに場違いだと戸惑いながらも、鏡の前でどこか落ち着かない気持ちになっていた。
制服は、学生が着るもの。そのはずなのに。
学生時代の恩師と結ばれた、歳の差の結婚。
仲は今も良好で、幸せなはずだった。
ただ一つ――もう長いこと、女として顧みられることだけがなかった。
理性で抑え込んできたはずの渇きが、制服の胸元に触れるたび、静かに疼く。
若さへの憧れ。忘れたふりをしてきた’女であること’。
それは、満たされずにいた歳月の裏返しだった。
団地での日々は、穏やかに過ぎていくかに見えた。
だが、その胸の内を、団地を裏で束ねる管理人は、すでに見透かしていた。
婦人会規約 第四条――「家庭の秘密を、婦人会と共有すること」。逃げ場は、一つずつ塞がれていく。
善意の顔をした管理人の’指導’が、理性で武装したはずの人妻を、その内側から静かに崩していく。
隣の部屋には、同じ制服の奥さんたち。
誰も、彼女の変化に気づかない。
いや――気づかないふりをしているのだ。
なぜなら、彼女たちも皆、かつて同じ道を通ってきたのだから。
制服の下で揺れる、詩織の理性。規約に呑まれたその先で、完璧だったはずの彼女が見つけるものとは――。
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※フィクション作品です。
登場する人物・団体・名称はすべて架空であり、実在のものとは無関係です。
※本編は全編フルカラーです。
※登場人物は全員成人です。
※イラストは画像生成AI、Stable diffusion使用して制作を行っております。
※破綻のある絵は人の目でチェックし、修正・削除しています。
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