――いや、本当はまだ帰れた。
ホテルを言い出したのは、私の方だった。
強気でいればいい。
自分から誘った側でいれば、最後まで余裕でいられる。
そう思っていた。
金髪ショートに黒縁眼鏡。
首元にはスカルのチョーカー。
キスだって、自分からした。
なのに――
ベッドの上で触れられるたび、少しずつ余裕がなくなっていく。
乱れていく服。
シーツに落ちた眼鏡。
強がる言葉とは裏腹に、隠せなくなっていく身体の反応。
恥ずかしい。
腹が立つ。
でも、やめてほしいとは言えない。
何度余裕を奪われても、素直になんてなってやらない。
最後まで睨んで、悪態をついて、かわいげのない言葉を返す。
身体はとっくに負けているのに、口だけは最後まで負けたくない。
強気でツンとした金髪眼鏡女子が、
自分から始めた一夜で少しずつ余裕を失っていく――。
終電は、もうない。
朝までいると言われても。
断る気なんて、最初からなかった。